2004 4/21
イラスト 市川笙子さま
文 マリ子

ユーリとオスカー


市川笙子さまにいただきました。

萩尾望都作「トーマの心臓」から、オスカーとユーリです。



「ぼくは、ほぼ半年の間ずっと考え続けていた。
ぼくの生と死と、それから一人の友人について」
と綴るトーマの詩から始まる物語。

ドイツのギムナジウムを舞台に少年達の日常が
淡々と描かれていく。
六人部屋の寄宿生活。
切り取られたような彼らの世界。

透き通った空気に響き渡る鐘の音。
溌剌とした生活、瑞々しい感情。
惜しみない友情と愛。



個性際立つ少年達。
そこにあるあまりにも濃密で豊かな人間関係。

無垢という恐ろしいまでの刹那。
痛々しいほどの清冷さと純粋。
優しさと誠実。
明るさ、素直、感受性。

透明感溢れる少年の時を写し取る
奇跡のような美しい筆致。



孤高なまでの崇高さ。
自己を殺すほどに…
そこに投げ出される無私の愛。


翼あげる… ぼくは、いらない…


愛。

そして、赦し。



年月がどれほど移ろうとも
ここには水晶のような時が永遠にある。




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