2006 1/12
イラスト 市川笙子さま
冬の夜
夜の音を聞きながら
壁の闇に目を向ける。
窓は雪を乗せ
凍てつく空を思わせる。
暖炉にくべられた薪の明かり。
時折はじける音だけが、聞こえるすべての音。
暖かさと薄明かりが眠気を誘う。
冬の匂いに混じるおまえの匂い。
私はそれに安心したいのか…
それとも…
髪の中に入る指は優しく繰り返し
静けさが、規則正しい鼓動を背に伝える。
限りない至福。
静寂の音を聞きながら
おまえを抱きしめる。