Portrait

その絵はさして大きくもなく僅かに古びているだけの普通の肖像画だった。だが額の中の人物は彼に生きうつしだった。額から目にかけての顔立ちや口や顎の線、輪郭までもが彼に似ていた。髪の色や目の色が僅かに違うだけで何度見ても彼そのものだった。彼は肖像画から目を離した。見知らぬ場所で見知らぬ自分に会うとは何と奇妙な感覚だろう。
(本文より)

























inserted by FC2 system